12月15日締め切り分
Aグループ
A001 お尻見せ逆立ち競ふ鴨の漁
A002 グランドの隅に落葉の吹き溜り
A003 鳰潜く水面のビルをゆらめかせ
A004 ぴんと張る胸の襷や社会鍋
A005 御仏を訪ひ秋篠の秋惜しむ
A006 一団は餅つき会や甲斐甲斐し
A007 丸火鉢今じゃどじょうを活かしをり
A008 極月や四人掛がかりの庭手入れ
A009 社会鍋笑顔の一施ためらはず
A010 心地よき寝床出難き今朝の冷え
A011 図書室の時計の音や冬日向
A012 声合はせ大根引く児ら学習園
A013 体調の日々良くなりし年惜しむ
A014 誰が言うともなく池へ岸の鴨
A015 朝市へ煙棚引く浜焚火
A016 庭仕事捗る小春日和かな
A017 天気図の列島指紋寒気団
A018 冬帝のご機嫌斜め苑巡る
A019 屯より離るる鴨の一つがひ
A020 日の当る不忍の池蓮枯れて
A021 宝くじ売り場と並ぶ慈善鍋
A022 夢灯す開港記念の大聖樹
A023 木枯のゆくへを見んと海に来る
A024 戻りてはまた流されて川の鴨
A025 夜業又夜業の昭和懐かしむ
A026 AIを相手の将棋夜は長し
A027 ケーブルカー霧かき分けて霧にきゆ
A028 峠道粧ふ山に入りにけり
A029 ふと一語句の纏まるや縁小春
A030 ぼろ市や装身具付け古着売る
A031 松避けて廻らす囲ひ池普請
A032 慰霊碑の供花揺れ通し凍天下
A033 一処へ鯉閉ぢ込めて池普請
A034 何もかも嫁御の世話の日記果つ
A035 寒風に幣踊りたる生田さん
A036 極月の新築工事音忙し
A037 金輪際転ばぬやうに十二月
A038 空っ風卵塔の供華ふっ飛ばし
A039 枯尾花刈られ光の穂を飛ばす
A040 枯葉追ふ園児を保母が追いかける
A041 虎落笛鬼押出を暴走す
A042 遮断機の音が急かすや空っ風
A043 騒ぎ立て大亀捕獲池普請
A044 息切れにまたも交代餅を搗く
A045 着ぶくれてスマホなかなか取り出せず
A046 煤掃の青笹を切る寺の庭
A047 浮ぶたび寄りそふ二羽やかいつぶり
A048 万華鏡めくゴミ袋落葉掻き
A049 葉牡丹の品定めして暮にけり
A050 林檎噛む会話途切れし老ふたり
A051 いきなりの鴨の悶着何あらむ
A052 散り時は今か今かと冬紅葉
A053 ひとひらの日につゝまれし返り花
A054 ふるさとに力尽きたる遡上鮭
A055 ペンキ塗る園のベンチの小春かな
A056 ぼろ市の年々盛んになる気して
A057 また動く箒の風に落葉かな
A058 山紅葉ひときは燃えて黄昏るる
A059 ロボットを競ふ生徒ら文化の日
A060 下校児の遊び半分冬うらら
A061 家々の屋根白々と霜の朝
A062 賀状書く二軒隣りの恩人に
A063 視野検査白い枯野をさまよひぬ
A064 巡業の力士の囲む焚火かな
A065 神の鶏時わかず鳴く鵙日和
A066 身のことをするだけ老の年用意
A067 図書館へ返却急ぐ冬の道
A068 吹き溜る落葉の上に降る落葉
A069 水鳥の声一つなき屯かな
A070 水亭は土足厳禁風凍つる
A071 蒼天に市章くつきり山眠る
A072 冬青空一糸乱れぬ編隊飛行
A073 民家園包む大樹や色鳥来
A074 夕風に波立つ池に鴨の声
A075 予約してワクチン打つも年用意
A076 クレーン車やすやす電飾大枯木
A077 ぼろ市のぐい飲みを選る女かな
A078 マンションの並びて師走遠くあり
A079 御仏に冬の牡丹のほのあかり
A080 虫喰ひの点字めきたる枯葉かな
A081 もんぺ着る妻に重ぬる実母義母
A082 一畝に色の異なる冬菜かな
A083 一筆に飾らぬ言葉賀状書く
A084 一望の里田茶色や冬景色
A085 駅伝が近づく山はまだ眠る
A086 歌碑句碑の多き昆陽池冬ざるる
A087 寒波急心構へのなきままに
A088 固まつて重なり合つて寒の鯉
A089 黒ぼこの土明らかに冬耕す
A090 鷺不動鴉騒がし鮭の川
A091 煮凝や今開け頃の魚缶
A092 初霜や犬の足跡うっすらと
A093 小雪降るふる里山野海に降る
A094 畳みこむ翅枯れてゐずいぼむしり
A095 心当ての郵便待つや暮早し
A096 息白し九十を越して朝散歩
A097 中天に淡月掲げ山眠る
A098 藤壺を鎧ふ橋脚冬深む
A099 忍びきて髄に寄り付く寒さかな
A100 風邪ひとつ引かぬと聞くに訃報くる
（Aグループ 投句者25名）
Bグループ
B001 ウェディングバルーン見上げ笑み交わす
B002 オーバーの襟しかと閉じ風の橋
B003 カニエキスプレス聞かば冬来る
B004 カラクリの時刻待つ間の冬日和
B005 一陣の風に波立つ紅葉かな
B006 若干名募集の巫女や神の留守
B007 手に包む椀の丸みや大根焚
B008 小春日や観音堂の壁に穴
B009 大聖樹万の白光纏ひけり
B010 冬耕や株を細かく砕けよと
B011 年忘卒寿傘寿も恙なく
B012 夜テレビ黙って蜜柑に手が伸びる
B013 夜半の冬灯火に集ふ茶友かな
B014 ハネムーンテーマパークや冬ぬくし
B015 隠沼につづく池面や枯蓮
B016 火鉢の火懐かしむ折顔緩み
B017 胡桃の実咥へて落とす鴉かな
B018 四阿の畳拭きする冬麗
B019 十二月指折る月日の流れかな
B020 初雪の忽ち消ゆる掌
B021 粧へる山に夕日の襞深く
B022 朝漬けを噛む音高しひとり飯
B023 天日干しオーブン焼きと藷甘し
B024 冬の日の斜めに射せり登校子
B025 風邪引きて寝込む隣の猫丸し
B026 北風や雲一つ無き空青く
B027 ウェディング写真選びて賀状とす
B028 どの家も山茶花盛ん庭飾る
B029 リハビリの腕励まして春を待つ
B030 干渉はしない約束浮寝鳥
B031 手の窪の団栗均し阿弥陀寺
B032 焼き芋は新聞紙よねとおすそ分け
B033 上席を作る要なき年忘
B034 新参に余興を託す年忘れ
B035 大根の摘まみ菜買うて植えにけり
B036 冬帽子小粋に被る門地蔵
B037 不揃いも大根干せば輝かし
B038 浮浪者の視線の先の社会鍋
B039 迷わずに池に脚立や松手入れ
B040 ボランティア笑顔絶やさず落ち葉掃く
B041 議事堂へ一直線の枯木立
B042 御歳暮や「泳ぐホタテ」と書かれをり
B043 座禅会夜回りの鐘響き来る
B044 青空へどの裸木ものびのびと
B045 冬帝が息吹きかけて猫丸し
B046 毛糸帽目深にかぶるや老婦人
B047 両隣掃き寄せ合ひて焚火かな
B048 悴みてキーボード打つ誤字多し
（Bグループ投句者13名）