2月清記

2月15日締め切り分


Aグループ
A001 この日和豪雪の地に届けたし
A002 せり出して庇の如き屋根の雪
A003 立読みの本に春愁払ひけり
A004 観音像浄財入れの冴え返る
A005 厳寒の冬季五輪や意気滾る
A006 玄関に活けたる梅の匂ふこと
A007 口開けて壁泉の獅子春を待つ
A008 行く手決め位置につく雲寒明くる
A009 雑然としたる茶の間のあたたかし
A010 芝の上雪かたまりて残りたる
A011 小石乗せ方丈池の厚氷
A012 新しき杖買ふ妹や水温む
A013 人込みに用心したる大マスク
A014 青々と巻かずじまひの白菜は
A015 霜柱踏み潰す我シン・ゴジラ
A016 足元にそれ年の豆拾はれよ
A017 大寒波記録づくめの1月尽
A018 大縄跳声に押されて子の潜る
A019 大玻璃に写るショールを正しをり
A020 二三片円窓亭へ風花す
A021 梅薫る庭に大きな売地札
A022 白菜の大株ばかり売れ残る
A023 万葉歌多き穴師や冬ざるる
A024 余寒なほ野菜の高値おさまらず
A025 立春の血圧日記異状なし
A026 歌麿の切手寒中見舞ひ来る
A027 くるぶしを埋む落葉や裏参道
A028 寒紅の落ちて魔法の消えにけり
A029 寒風を通過列車の撒き散らす
A030 見渡せど見えぬ日の丸建国日
A031 幸運や手にすっぽりと年の豆
A032 産卵済みて安らげる鮭の口
A033 春立つも将軍様は衰へず
A034 聖歌いまボーイソプラノ致命祭
A035 積雪に白き世界の朝ぼらけ
A036 節分の豆の袋に当り籤
A037 雪に泣き雪に守られ春を待つ
A038 川底に動くものあり春兆す
A039 蒼天や六甲連山笑ひ初む
A040 霜枯や園の弓垣ぴんと張る
A041 打ち損ね今も夢とす老猟夫
A042 待春の床の間飾りランドセル
A043 猫の恋睡眠薬の効き悪し
A044 薄色の短冊ゆかし初句会
A045 薄氷の縁見て返す池の鳥
A046 夫婦して観音参り春を待つ
A047 宝前にお礼参りのショールとる
A048 又しても後のまつりの蜆汁
A049 老二人寿司屋ヘバレンタインデ−
A050 卆寿越しこころたゆたふ柚湯かな
A051 ちぎれ飛ぶ子らの歓声寒風裡
A052 パソコンの前に抜け殻どてら脱ぐ
A053 春寒やレクイエム聴き人偲ぶ
A054 ふるさとの川原ひろびろ鮭遡える
A055 江戸三に俄句会や女正月
A056 豪雪は百害あつて一利無し
A057 笹子よと目配せ交はす吟行子
A058 山の辺の道なり沿ひに垣直す
A059 山積みの堆肥袋や春を待つ
A060 春寒し持薬処方に医者通ひ
A061 人生の宝の話日向ぼこ
A062 酔狂な雪の降る中屋形船
A063 青空に首かしげをり雪だるま
A064 雪の朝か細き道を踏みしめぬ
A065 待ち針の三人三様納め針
A066 探梅やふふみし枝に香を秘むる
A067 池普請細き流れを通しをり
A068 天窓に月蝕を見る寒夜かな
A069 冬五輪何故か興奮伝はらず
A070 白梅や石碑を漢字埋めつくす
A071 頬被り昔の上司畑を打つ
A072 明日香風渡る畦道下萌ゆる
A073 夕焼けてピラミッドめくや富士の影
A074 恋の猫塀の上より何狙う
A075 舫舟びつしりや冬の入海
A076 「吹割の滝」の待たるる雪解水
A077 大皿の料理分け合ひ春の宵
A078 カフェテラス春は名のみの日差しかな
A079 ヒーター焚く妻の寝息は消されけり
A080 ふんわりと浮かぶ雲行く空は春
A081 一発で仕留めよ鮭お打つ人よ
A082 引き潮の一目散や涅槃西風
A083 寒濤を物ともせずにタグボート
A084 軽やかに小石転がし春の川
A085 今年また殉教祭に風花す
A086 左義長の若衆宿に灯の点る
A087 参道は梅の香の馥郁と
A088 手作りの梅ゼリー並ぶ梅見茶屋
A089 雪下ろし疲労困憊腰痛も
A090 早梅や城南宮を心当て
A091 短パンの校庭駆くる寒風裡
A092 朝市のバケツに馴染む猫柳
A093 潮の香の三浦大根すだれ干し
A094 白足袋の身振り狂言舟を漕ぐ
A095 抜露地の多き鎌倉梅匂ふ
A096 風折れか裂け目新し梅ふふむ
A097 本流へ我を先にと雪解川
A098 迷ひ子の手を引いて来し追儺鬼
A099 恋の猫忍び返しの塀越ゆる
A100 老ひぬれば家が極楽二月尽
(Aグループ 投句者25名)
Bグループ
B001 いただいた紅梅一枝香のほのか
B002 はこべ見て心浮き立つ野道かな
B003 ポスト上ミニ雪達磨手紙待つ
B004 医者探す機内放送冴返る
B005 雨粒のきらりと光る冬芽かな
B006 休み田の日を独り占めいぬふぐり
B007 汁椀に収まりきらず大蛤
B008 春の宵遠くかするる汽車の笛
B009 掻い堀りに出づ湧水や春近し
B010 大木の木肌に映る冬夕焼け
B011 椿道過ぎて鴉の杜に入る
B012 満開を待たぬ小梅の見ごろかな
B013 明日こそと開花を待てる室の花
B014 いつ咲くか幾度も眺む室の花
B015 そこだけは日差し明るき花菜畑
B016 奥宮の神鈴鳴らす寒九かな
B017 鴨真近つむりグリーンエメラルド
B018 寒風に耐へ並ぶ先鯛焼屋
B019 休み田の畦にも零れいぬふぐり
B020 子の手引きマフラーマスクでバスを待つ
B021 遅くまで足の抜けない炬燵かな
B022 挑むごと沢庵を噛む卒寿かな
B023 猫の恋月も静かに見守りて
B024 肌をさす風を遮るマスクかな
B025 北風や遺跡掘る人身震いす
B026 野球子の打者の雄たけび風光る
B027 どんど焼き土手の上にて煙吸う
B028 鬼といふには父優し節分会
B029 月蝕を見むと早早着ぶくれて
B030 残雪やいつまで居座る垣根本
B031 枝先に氷の粒や真夜の雨
B032 春近し抱く大樹の鼓動かな
B033 女子高の塀乗越えて恋の猫
B034 針供養真っ赤に錆びた針ばかり
B035 訴える如き目線や恋の猫
B036 太平の寒夜月食狂想曲
B037 猫の恋いつ止むのかと耳澄まし
B038 万蕾の梅に祈願の絵馬多く
B039 溶け競ふ仮設の軒の長氷柱
B040 バレンタインデーに教わるギターかな
B041 よちよちの歩き初めにコート着せ
B042 温泉の街や苺の直売所
B043 火の番と会ひて帰宅を急ぎけり
B044 華やぎについ買ふバレンタインチョコ
B045 街角の小さき庭や名草の芽
B046 水車小屋ひつそりとして春を待つ
B047 節分会香で体を清めもす
B048 蒼空に遠富士白く冴返る
(Bグループ投句者13名)