3月清記

3月15日締め切り分

すでにお知らせ致しましたように、今回よりメール句会は会員限定の句会となります。
メール句会の会員はひいらぎの誌友に限らせていただきます。全員が有料となります。(3月から2月を年度とし会費制 途中入会可)

選句数は、これまで通り8句といたします。

互選の締め切りは、今月に限り3月25日とさせていただきます。
担当者の都合により清記の発表が遅れて申し訳ございませんでした。


1	あの辺り富士の山とや春霞	
2 お替りのコーヒーポット卓日永
3 継続に自信なけれど畑を打つ
4 街の灯に遊ぶ心や春の宵
5 レジ横に蕗の薹置く道の駅
6 花杏一木に庭を華やぎぬ
7 花屋にも売らる四葉のくろーばー
8 楽しげな囀に吾元気出る
9 歓声や頭上にスノーボード舞ふ
10 看板の褪せし旅館や猫の恋
11 緊迫の対局の庭梅咲けり
12 啓蟄や整形リハビリ地下一階
13 古草や高層マンション聳え立ち
14 紅梅にいつしか歩幅小さくし
15 菜の花やトンネル抜けるその先に
16 菜の花黄学習園のひとところ
17 笹鳴きや戒壇院の通り抜け
18 三姉妹十日遅れの雛の膳
19 山茱萸の黄や福島を想いをり
20 手を合はす軍人墓地に笹鳴ける
21 受験絵馬溢れて落ちし人哀れ
22 春窮や原稿白きままにして
23 水温む皇居の濠に鯉の影
24 雛調度爪先ほどの貝紅も
25 卒部子で読んで回せと文庫本
26 笛を吹き初音を誘ふ城の杜
27 登りつめ天道虫の飛ぶ構へ
28 日溜まりの神木の幹暖かし
29 梅褒めて見知らぬ家に立ち話
30 白梅と紅梅門の右左
31 塀の上飛ぶをためらう雀の子
32 宝前を横切る巫女や風光る
33 無精髭マスクで隠し人に会ふ
34 主なき犬舎の辺り地虫出づ
35 うたた寝や重宝したる春炬燵
36 こぼれれ落つ南大門の寒雀
37 たんぽぽの野に杖の音消えにけり
38 たんぽぽをぽぽと覚えてよちよちと
39 はらはらと撒塩のごと梅の散る
40 春隣休耕田にはしやぐ子等
41 まほろばの風に白梅散りにけり
42 めくるめく春の日差しや川怒涛
43 羽振つて沼の白鳥北帰行
44 忌を修す利休百首を繙きて
45 金メダル昂奮終り鳥雲に
46 空を切りホームの巣へと来し燕
47 啓蟄や昨日と何も変わらずも
48 公園は便殿跡や青き踏む
49 菜の花の畑見下ろす滑り台
50 春うらら園児の散歩微笑まし
51 春の雨少こしやわらぐバラの棘
52 春の日や屋根に遍く注ぎをり
53 春寒し失くしたバッグ惜しきかな
54 席譲るピアスの少年春きざす
55 朝昼の悩む気温差春浅し
56 伝馬船水脈引く行く手春の潮
57 桃の日や我には二人男の子
58 豆飯や食べすぎと言ひお代わりす
59 踏切のとまれききみて音のどか
60 拝殿に雛の七段宮参り
61 風光るメタセコイアの秀の尖り
62 仏壇にもあられ供へる雛の日
63 眠そうな犬と文庫や日向ぼこ
64 麗らかや雀の遊ぶ御製の碑
65 囀の広き城址や逍遥す
66 憚らぬ幼の尻や仏の座
67 右近碑の裾に一輪すみれ草
68 しやがみ込んで啓蟄に目を凝らす
69 春宵の涙を誘ふ映画かな
70 たんぽぽに黒点ひとつ拠る小虫
71 チェンソー響く社叢や春隣
72 トンネルを抜ける疏水や春の水
73 ネタ尽きてレシピ本買ふ二月尽
74 はやばやと片蔭探す日差しかな
75 一本路遠き裾野の陽炎へる
76 羽振つて鳥達帰る峡の沼
77 歌声のちいちいぱつぱ蓬萌ゆ
78 眼下なる梅林眺め吟行す
79 吉日の余韻残して春日落つ
80 泣き癖は治らぬままに卒部式
81 吟行によろし指先無き手套
82 空き家より騒ぎだつ群鳥さかる
83 寺田屋の小屋根徘徊うかれ猫
84 受験絵馬なかに恋愛成就絵馬
85 春めきて期限確かむパスポート
86 春霞丘に広がる葡萄畑
87 雛の街鼻緒挿げ替え賜ると
88 切株を覆ふ勢や草萌ゆる
89 雪国の地下街蟻の国めきて
90 着飾れる御針子が伴針供養
91 沈下の香りを纏ひ庭掃除
92 天を突く青枝に梅の蕾多々
93 道しるべめき又ひとつ落椿
94 白酒をまずは婆にも嫁いとし
95 番傘の神官のゆく花の雨
96 不夜城のコンビナートや灯の朧
97 門跡の本堂自若春一番
98 路地匂ふこの香りこそ寒造
99 拮抗の紅白梅やと見こう見
100 お点前や備前の壺に白椿
101 かぎろひの丘に上りて初音待つ
102 春愁や声張り上げて歌へども
103 スーパームーン一期一会の春の月
104 たんぽぽの黄や甲高き子等の声
105 薔薇芽吹き風の洗礼受けにけり
106 武具飾る一刀彫の老舗かな
107 ものの芽の指差確認や今朝の庭
108 鴬餅大箱の隅引っ付きぬ
109 黄沙降る残りすくなき引揚者
110 黄塵やみなとみらいのビル消ゆる
111 花菫物干し竿の下に咲く
112 革細工めきて艶やか座禅草
113 急ぐ勿れここら土筆の群生地
114 金縷梅や名に似ず楚々と咲きゐたり
115 見せくるる蝌蚪浮く小さき掌
116 吾が孫の花嫁姿春日燦
117 作り手の名は知らねど雛美しき
118 燭果てし堂に日の射す涅槃寺
119 水温み御座船はゆるりと進む
120 雛の間に煙漂ふ合掌家
121 青空を褒めるが先の梅見かな
122 雪解坂登れば風の大伽藍
123 退院や開く北窓真呼吸
124 竹林のさらさらさらと風光る
125 朝二輪刻刻と増え花あんず
126 土筆摘むすぐ目移りの子供たち
127 投下点示す被爆樹春を待つ
128 賑はひの東京駅舎春日満つ
129 梅林に見上ぐ天守や鯱光る
130 箸墓にたゆとふ煙り畦を焼く
131 病癒ゆいざ買い物へ薔薇芽吹く
132 蕗の薹避難訓練なる空き地
(投句者33名)