10月15日締め切り分
1 コスモスの揺れる坂道大聖堂
2 ちびっこの並ぶお絵かき文化の日
3 ばったんこ見えぬ一打に母を恋ふ
4 ハロウィンのかぼちゃの顔は大笑ひ
5 モモカシラレバータンハツ温め酒
6 楼上に絶景の海十夜寺
7 稲刈会子等は刈るだけ後はプロ
8 雨の川筋桜紅葉の色増して
9 横切りの鹿で通勤電車止む
10 海眺むごと阿弥陀仏秋の寺
11 竿の先風にひれ伏し赤蜻蛉
12 胸元の袱紗点睛秋袷
13 琴の音にまだ出ぬ月を恋ひにけり
14 空谷の木曽路たどれば山粧ふ
15 月を観に月へちかづく磴上る
16 後ろより来る人恐し霧の中
17 紅さして十夜の稚児の御練かな
18 手捻りの鉢の適ひて走り蕎麦
19 秋日燦国旗を掲ぐ御用邸
20 秋来る北海道展混みに混み
21 十夜市農具といひて刃物売る
22 畝一つ埋めてコスモス揺れにけり
23 青りんご美空ひばりを思い出す
24 吊橋に絡み藤の実たわたわと
25 等閑の庭や月見の丈の草
26 墓の前お辞儀するかに芒揺れ
27 門川の深さ如何ほど萩枝垂る
28 夜学子や一光年の零の数
29 葉の薄いものから紅葉始まりぬ
30 裂け折れし街路樹跨ぐ野分跡
31 露の世や笑顔の囲む子規の句座
32 老人ホーム月見飾りお拝む人
33 椅子席を有難がりて十夜婆
34 きつとこれ毒茸よと掃はるる
35 たどり見る復元絵巻文化の日
36 ディケア共にもらいし秋海裳
37 阿波なれや酢橘山なす道の駅
38 一つ星見上げる顔の秋思かな
39 稲架組みやあっと言ふ間にパイプ組み
40 駅員のツーステップや秋日和
41 塩害に葉を落としたる実紫
42 嫁ぎきて共に老いたる柿たわわ
43 柿捥ぐやかつて竹槍持ちし身ぞ
44 虐待のなき明日祈る諸霊祭
45 紅葉と塩害隔つ風の道
46 高高と紙燭を揚げて案内僧
47 菜園に話し声あり秋の暮
48 山門を入りて激しき十夜鉦
49 子規庵の糸瓜水採る人もなし
50 耳固くも水琴窟の秋澄めり
51 秋の蚊と雨風凌ぐ家籠もり
52 秋澄むやスカイツリーは銀光り
53 身に沁みて知る妹の認知症
54 澄む水を構はず鯉の泥煙
55 爽やかや筑波二嶺くつきりと
56 早や萩の刈られ参道味気なし
57 台風の何でそこから曲るのよ
58 大玉の転がる方へ赤とんぼ
59 筑波嶺を遠見の浦の鯊日和
60 晩秋やたかぶる富士の夕茜
61 飛び立たむ翼の露の光かな
62 百日紅いよいよ終ひの一花かな
63 霧籠めの蔵王連峰町薄日
64 梨狩りや甘さ確かめよと剥かれ
65 秋日差す車窓に開く句帳かな
66 アソートの籠転げ落つ秋果かな
67 ハロウィーン飾りつけ満つ昼餉かな
68 プランターの最後のひとつ秋トマト
69 挨拶やベランダ覗く去ぬ燕
70 回廊をすすと小走り十夜僧
71 菊花展万蕾揚げて準備了
72 狭庭に小鳥愛想してすぐ去りぬ
73 畦行きてはたはた右往左往かな
74 結界を守る石仏昼の虫
75 三叉路のそれぞれへ風秋桜
76 三輪山を離れて高し小望月
77 山霧の流れ一瞬田畑見ゆ
78 児等の言ふこれはトイレや木犀香
79 秋の灯の書院に点る開山忌
80 秋の暮れ本カバーにも句材記す
81 秋光や白汚れなきパンダの仔
82 秋晴れの七里ケ浜に富士の山
83 秋蝶の淋しからずや詩仙堂
84 秋風や錆ゆくばかり納屋の鍬
85 十夜僧法衣の金糸銀糸かな
86 食ぶるたび栗栗栗のにぎり飯
87 川風に舞ひ上がりたる秋の蝶
88 短冊に好きな俳句や文化の日
89 虫すだく芝に能楽発祥碑
90 冬支度牧草ﾛｰﾙ積まれゆく
91 藤原京跡てふ広野秋桜
92 頭かむ獅子の縁起や村祭
93 日本海走る野分や枕上
94 鉢植ゑの南天の早紅葉初む
95 妣の毛糸続きを編まむ決意かな
96 皺増えし鏡の顔に愁思かな
97 すれちがふ自転車籠の菊の香よ
98 どぶろくや現場現場の力水
99 本堂の間近に売るは十夜柿
100 我ながら良き出来栗の渋皮煮
101 監督も子等も熊手や野分跡
102 朽ち果てし竹垣に咲く玉簾
103 金婚の庭ままごとの萩こぼす
104 句会場出るやに秋の日の翳り
105 形振りの十人十色案山子展
106 紅葉葉や魯山人の窯の跡
107 採りたてを茹でて美味なる落花生
108 秋耕の人に声かけ乳母来る
109 初孫にもらう絵手紙敬老日
110 女子部員馬が好きよと洗ひをり
111 鐘楼は煉瓦造りや秋惜しむ
112 赤い羽根大臣だけが胸飾る
113 草叢はかつて田んぼやばつた飛ぶ
114 孫膝にモカをホットで秋の午後
115 朝寒や機嫌斜めの膝小僧
116 調教に立つ地響きや馬肥ゆる
117 蹄鉄を供へし墓碑に木の実降る
118 鉄塔の胸反らしをる豊の秋
119 転覆のさまに転がる蓮の露
120 登り詰め大樹装ふ蔦紅葉
121 白秋の郷彩りぬ彼岸花
122 万巻の書庫ゆさゆさと台風裡
123 名乗りなき句会の家路秋時雨
124 木犀の嵐に散りて香薄る
125 野路の秋右に左りに花めでり
126 裏畝傍一望千里豊の秋
127 露の世や石に彫りたる辞世の句
128 籠もる日々秋思断つごと爪を切る
（投句者32名）