7月15日締め切り分
1 大阪は地下街広し作り滝
2 ことごとくまな板濡らし西瓜切る
3 のり出して蓮剪る人に舟傾ぐ
4 園涼し木の間木の間に水光り
5 遠雷や黒雲迫り急く家路
6 夏来るベンチに栞忘れられ
7 河骨に至りて淀む流れかな
8 開催を待つグラウンド芝を刈る
9 監視カメラここにも欲しや冷蔵庫
10 穴場らし三脚並ぶ梅雨晴間
11 月下美人開花を待てる正座かな
12 再開の句会うれしや梅雨晴間
13 三密にあらず老舗のあんみつ屋
14 神籤引く茅の輪くぐるや一散に
15 水しぶき仰ぎシャッター滝見茶屋
16 生垣を我が物顔にかぼちゃ蔓
17 青芝や投げ打つ走る甲子園
18 青畝句碑撫づる手襲ふ蚊や憎し
19 谷戸風を腹一杯の鯉幟
20 朝刊を取り朝顔に水をやる
21 峠茶屋堅く閉じられ梅雨寒し
22 念の為あちこちで買う青山椒
23 梅雨じめり語彙すっと出ぬもどかしさ
24 梅雨の蝶重たげに舞ふ雨上がり
25 梅雨の雷突如爆音おぞろしや
26 噴水の止まりて著き子らの声
27 肩凝らぬ小説に梅雨明けむとす
28 からうじて見ゆる遠さに未草
29 コロナ禍の令和に惨き水禍かな
30 すっぴんの気楽さに慣れ髪洗ふ
31 ナイターも無観客では様ならず
32 ボール蹴る子ら春塵を気にもせず
33 浦風にウエーブ起こし蘆茂る
34 雲海に五体投身してみたし
35 夏蝶の狭庭の野菜離れざる
36 荒梅雨や正体見せし暴れ川
37 三輪鳥居凛然と立つ青田中
38 子の育つシール貼り無し冷蔵庫
39 子鴉の甘え鳴きして森の朝
40 時により薔薇の眞紅のうとましく
41 時疫に続く荒梅雨家籠る
42 疎ましやコロナウィルスも荒梅雨も
43 貸農園初生り胡瓜戴きぬ
44 大沼は枯れて老鶯鳴き疲れ
45 土間涼し裏庭の風通り抜け
46 梅雨豪雨止み間の人語やれ安堵
47 滝の音聞きつつ磴を登りけり
48 梅雨晴間洗ふ入れ子のエコバッグ
49 梅雨長しもう一雨といふ予報
50 百度石の深き刻字の黴の色
51 風に乗り女性コーラス夏兆す
52 揚羽蝶草と一緒にかられをり
53 ガンジスの朝日を除けるサングラス
54 コロナ禍にワクチンの報夏来る
55 スプーンに蜜豆の冷え伝はり来
56 次次とベンチ訪なふ夏の蝶
57 リモコンを手元に置いて梅雨ごもり
58 一角を藍一色に染む四葩
59 一服のベンチの脚に梅雨菌
60 雲海にうかと踏み出しさうになる
61 燕の子飛び出す選挙事務所から
62 鯉涼し無聊の我に寄り来る
63 傘マーク続く予報や梅雨長し
64 参拝の杖ひきて来し梅雨晴間
65 山門の幣の重たき梅雨じめり
66 七夕の逢瀬妨ぐ豪雨かな
67 床下に何ぞの気配梅雨深し
68 色さやか雨に洗わる桔梗かな
69 畝傍山土用三郎雲低し
70 青柿の立派な蔕の散らばりぬ
71 二番子を連れて青空親燕
72 日米の味を楽しむさくらんぼ
73 梅雨のはれ子犬のせがむ散歩かな
74 梅雨止み間道掃く難儀濡れ落葉
75 浮巣見の泥濘のがれ難きかな
76 噴水の池にボールの揺蕩いぬ
77 遊歩道隙間より伸ぶ草いきれ
78 玻璃戸開け編集室に夏の風
79 がら空きの席の涼しき始発バス
80 コロナ禍に日盛りの町静かなり
81 パナマ帽小枝に掛かり落し物
82 ファックスの紙の詰りや梅雨湿る
83 疫病や海水浴もままならず
84 解体の庭の檜扇お好きにと
85 行儀よくみな黙々と鮎を食ぶ
86 降る雨や垣根に垂るる凌霄花
87 コロナ禍やそと出を控え三尺寝
88 混み合へる都電西日の坂のぼる
89 桜桃の種の転げる弁当箱
90 山荘の星でかでかとバルコニー
91 就活の内定を受く梅雨晴間
92 菖蒲園終の一花の濃紫
93 水噴きて子の枕頭に螢籠
94 青臭き茅の輪の前に人の列
95 青丹よし奈良の団扇を重ね置く
96 藻畳を噴水叩き通しかな
97 大輪の薔薇にしゃちほこ立ちの虻
98 梅雨寒の洗濯物を部屋に吊る
99 朝散歩てふに日傘の伊達漢
100 田の隅に我を張り伸びる余り苗
101 道に跳ぶ豆粒ならぬ青蛙
102 鈍行を乗り継ぐ帰省懐かしき
103 動物に残してと札桑の実に
104 梅雨寒を託つ七味や掛うどん
（投句者26名）