例句はひいらぎ18年5月〜7月号より転載
迦陵頻伽 | かりょうびんが | 仏教で雪山または極楽にいるという想像上の鳥。妙なる鳴き声を持つことから仏の音声の形容ともする。その像は人頭鳥身の姿で表わすことが多い。
囀りは迦陵頻伽とききにけり 兼安昭子 |
几帳 | きちょう | 屏障具の一つ。室内に立てて隔てとし、また座側にたててさえぎるための具。
三輪山の几帳の如き干素麺 牧野喜代子 |
甑倒し | こしきたおし | 醸造家でその冬の酒造りが終わった祝い。
黒板に甑倒しの日を記す 丸山えつ子 |
春聯 | しゅんれん | 中国で正月を祝うため、門の両側や入口の扉などに赤い紙にめでたい文句を書いて張るもの。
春聯に尻尾の触るる龍踊 三木夏雄 |
水干 | すいかん | 平安時代は宮廷や貴族に仕えた下級官人の服。のちに公卿の私服、元服前の少年の晴着に用いる。
水干の袂より出す懸想文 高市忠子 |
楉 | すわえ | 木の枝や幹から細長くのびた若い小枝。しもと。
天を突く楉の梅のふふみけり 大西めぐみ |
乳鋲 | ちびょう | 門の扉などに飾りとして打ちつける丸くふくらんだ金具。
雛飾る古りし乳鋲の長屋門 秋山其枝 |
門波 | となみ | 瀬戸にたつ波。
さんざめく門波に雛流しけり 兼安昭子 |
堵列 | とれつ | 垣のように並び立つこと。
堵列してメタセコイアの芽吹き初む 荻野操 |
秀つ枝 | ほつえ | 上の枝。
秀つ枝より一直線に椿落つ 花岡明美 |
厄塚 | やくづか | 厄神を封じ込める盛土。京都の吉田神社で節分祭に庭上に榊をさした塚を築くのが名高い。
厄塚は高しお札を抛り上ぐ 吉井紫水 |