名ばかりの川とはなりし草青む みどり
やはらかき新芽の柳風に揺れ  三重子
人波の自動改札春兆す     桂伸
筑波山霞の海に呑まれけり   倉太
みちのくや戸毎に屋号軒つばめ 節江
物芽出づ亀甲石の割れ目にも  ひいづ
石垣の崩るる土塁草青む    領一
サーファーら春一番を気にもせず隆雄
鎌倉の遺跡発掘春の泥     ザザ虫
薔薇の芽の太り日曜再び来   瓔子
反り橋は一枚岩や水温む    道恵

春雨にけぶりし杉の美林かな  裕子
休肝と決めし夕べの蜆汁    豊治
指を差す空の高きに初雲雀   眞千子
雪吊を外されし枝身震ひす   あきひろ
試歩の杖なくともがなと青き踏むとめ子
ものの芽の出揃ふ野球外野席  公平
北窓を開け目ざはりなビル工事 静子
断捨離と心に決めて青き踏む  道子
鳥帰る浜は大師の謂れの地   直之


3月2015
        
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