柳絮飛ぶ平城宮跡の広さかな     喜代子
三井寺の鐘に安らふ遍路かな     由紀子
杉花粉ものともせずに奥の院     和子
夕闇の車窓に映る花辛夷         晴子
ボンネットバスに列なす園うらら 章子
坪ほどの畑に生きがい種を蒔く   とめ子
天日干し所狭しと風光る         元二
辛夷散る谷戸に眠れる異人墓     操
花冷えに肩を寄せあふ羅漢さま   ひいづ
風光る港の見ゆる丘に佇ち       桂伸

春の空時計回りの鳶かな         千里
隧道の入口出口山桜             英二
春眠を突如破りし地震苛烈       広治
目借時他人の肩に首預け         柳影
靖国の老いし桜の芽吹きけり     宏治
菜の花の黄の蕩け出す夕べかな   隆雄
径といふ径に花屑飛鳥山         瓔子
子雀や何を見つける土手あたり   サダ子
石臼に残る湯気の香草の餅       裕子
雨乞ひかはた妻恋ひか鳴蛙       みどり


4月2018
        
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