燭涼し飛天の影のゆらめきて   由紀子
幼児等のはしやぐ行水狭き庭   三重子
濡れそぼつ大石小石滝の道    操
朝散歩日傘の影のすでに濃し   淑子
雨催ひ物憂き午後や合歓の花   喜代子
太閤記読み耽る夜やはたた神   瓔子
一握りほどに減りたる髪洗ふ   とめ子
今夜よと月下美人の回し文    晴子
夕端居話の花を咲かせけり    幸子
大津絵に睨まれながらビール干す 柳影


さざ波に白き航跡ヨット航く   和子
白白と夏雲浮かべ五色沼     章子
日盛りや赤きバイクの郵便夫   元二
浴衣着て背丈は親を越しにけり  宏治
飛火野に人つ子一人見ぬ炎暑   尋嘉
強きこと影こそあらめ雲の峰   英二
夏休み孫強くなる将棋かな    桂伸
軒端よりミスト噴き出す夏館   隆雄
乳母車過ぎるを待ちて水を打つ  舞
ビール手に未来語りし日々懐古  広治



7月2021
          
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