第110回 虹の会 秩父皆野・長瀞吟旅  

平成26年8月16日/17日  


参加者9名
天気16日曇のち雨 17日晴
宿泊いこいの村ヘリテイジ美の山


秩父の峰々 立沢より

東京方面から、秩父鉄道皆野駅へのルートは二つ。一つは、池袋から西武線で西武秩父駅へ出て、徒歩すぐのお花畑駅で秩父鉄道に乗り換える方法。もう一つは高崎線熊谷で秩父鉄道に乗り換える方法。ほとんどのメンバーは前者を利用し、11時過ぎに皆野駅に集合した。
ここからはタクシーで最初の吟行地、三十四番札所水潜寺へ向かった。午年の今年は、12年に1度のご開帳の年であった。

第1日目

        
◇秩父鉄道は、初めて乗車した。四駅間だけの印象だが、田畑が続くかと思いきや、意外と家並が続いている。車窓にセメント工場が見え、納得した。(享子)

◇秩父も奥まで来たものだと思わされた。とはいっても、池袋からちょっと電車とバスで来ただけなのだが。(淑子)

◇山深き秩父三十四番札所、結願寺にふさわしい趣き。盆休みにもかかわらず、遍路が次々に到着する。まぎれて木魚を打ち、経を唱えてみる。得難き体験をした。(宏治)

 

水潜寺参道

水潜寺本堂
◇寺の名の通り、こんこんと清水が湧き、結願堂には巡礼に使った杖が多数納められていた。(隆雄)

◇御開帳のお寺は興味深い。12年に1度と思えば、この時期の吟旅をここにして良かったと思った。結願寺である水潜寺の住職は3つの寺を掛け持ちしているそうで、お話ししやすい方だった。(淑子)

◇結願の札所に連れて来ていただき、霧流れそのうちに雨となった中でも、俳句の楽しみがあってこそ霧も雨も句材となる事を楽しめました。(多賀子)

◇水潜寺では、結願を果たした若い男性に出会いました。こちらまですがすがしい気持ちになりました。(章子)

◇秩父巡礼の結願寺は熊野に似た山容の中にあり、御開帳の最中。中陣も外陣も暗く、内陣の明るさにご本尊が引き立つ。(彰宏)

境内

金子兜太氏の句碑
  ◇境内に金子兜太氏の句碑があった。
「曼珠沙華どれも腹出し秩父の子」
皆野は、金子兜太氏の故郷。俳句の盛んな土地柄で、投句箱が各所に設置されている。金子氏が選句をなさるということで、メンバーもみな投句した。(瓔子)

◇虫送りは急峻な天空の里という山村のそれ。戸数四十、担うは主に年寄衆。鉦、太鼓にもどことなく寂しさがある。よくぞ今に続くと感興一入。(宏治)

◇虫送りに出会えてよかった。若人が山村に残らない事情も聞くことが出来た。標高五百メートルということだが、山波が眼下で谷から雲が湧くし、千メートル近いかと思われる。(享子)  

立沢の風景

虫送り 出発
◇印象的なのは虫送り。どこを見ても険しい傾斜地の畑の間を通っていく。途中で休んだりしてだらだらと行くんですよ、と言われたが、このゆっくりしたペースも良い。
夜に行われる方が多いそうで、それもまた見てみたいものと思った。(淑子)

◇虫送りは、三本の梵天を先頭に、子供達が五色の紙のついた「送り竹」を持って送っていた。山雨きびしく、全員ずぶ濡れになっても、平気で虫送りを続けていた。(隆雄)

◇秩父の山奥の村の虫送りを見る機会に恵まれた。村の人の列について、小さな山の村をほぼ一周。
鎮守の森では、ふるまわれた西瓜に舌鼓。
秩父音頭の踊りも最後に出て、村の人達の暖かみを感じた半日でした。虫送りを皆で盛り上げていた姿に感銘を受けました。(章子)

村の鎮守にて

虫送りの列
◇虫送りの例句は、夜、松明を燃やすという句が多いけれど、奥秩父の虫送りは昼間。田んぼのない山間の畑地の狭い径を巡る。(彰宏)

◇虫送りは松明をかざして行うと思っていましたが、今日は昼間でした。山里の素朴な珍しい虫送りを俳句の仲間と見る事が出来、感謝でした。(多賀子)

◇俳句を考えつつ、名物のおやきを食べながら、土地の人たちの話を聞きつつ、虫送りのうしろに従って、山の畑や鎮守様まで雨にも負けず、ついて回った。得難い経験だった。(隆雄)

第1回句会 小路紫峽先生選

結願の札所に見上ぐつるでまり古谷多賀子
立ち入りを禁ずる岩屋滴れり池田章子
虫送り雨にちぎれし五色旗古谷彰宏
山里に響く太鼓や虫送り古谷多賀子
このあたり秩父も奥や虫送り堀内淑子
虫送り昔ながらの古道を古谷彰宏
急坂を一列となる虫送り伊藤瓔子
虫送り了へて秩父の地酒酌む伊藤瓔子
避暑ホテル秩父音頭に迎へられ池田章子

第2日目



長瀞 舟下り
◇昨日の雨で増量の川で舟が出るかと心配しましたが、予定通りの舟に乗る事が出来ました。(多賀子)

◇昨日の雨で水嵩の増えた川下りは迫力満点(隆雄)

◇久々に川下り、わずか二十分ほどではあるが、水しぶきに濡れもして涼味十分。(宏治)

◇昨日の雨の影響で水かさの増した荒川上流の川下り。水しぶきを浴び、スリルたっぷり。何より川風の涼しさに気分は最高でした。(章子)

◇船下り、カヌー、ラフティングボート、長瀞の夏の景色は素晴らしい。(彰宏)

◇長瀞はたっぷりの水で怖いように思えたが、川遊びをしている人を見ながら乗っているうちに楽しくなってきた。もっと長く乗っていたかった。(淑子)

亀の岩

岩畳
◇遠足で長瀞の岩畳で昼食を取った昔を思い出した。(享子)

◇お盆休みの最後の日曜日で川遊びの人や船下りの人をながめるのも楽しかったです。長瀞駅では煙をはくSL号を見られました。(章子)

◇句会場の川茶屋も川風の吹き入る好立地。鮎飯も香味よろしく大満足。(宏治)

◇鮎飯がとにかくうまかった。
天然氷を使った「かき氷}は口に入れると生クリームがとろけるような感じでとてもうまかった。(隆雄)

◇鮎飯の骨の硬さを惜しむ昼食に、大満足でした。天然の氷水をたべそこなって残念でした。(彰宏)

◇鮎飯もいただき句会もその会場でさせていただきました。(多賀子)

鮎飯


第2回句会 小路紫峽先生選

避けられぬ飛沫を頬に舟遊び伊藤瓔子
諳んずる赤壁の賦や涼み舟古谷彰宏
鮎飯に舌つづみ打ち旅終る古谷多賀子
川下り水棹さばきの爽やかに大淵享子
支流とは言へど激湍舟遊び古谷彰宏
鮎飯や小骨なんぞは気にならず岸本隆雄
絶景といふ高台に霧晴れず古谷彰宏

 
参加者のひとこと
商店街の試食も楽しく、1本だけ買って食べた胡瓜と茗荷の浅漬けもおいしかった。かき氷、鮎飯もいただき、ちょっと食べ過ぎの吟旅だった。(淑子)
秩父音頭の嫋やかな踊りが見られ、又美しい料理に、厨房から出て頭にスカーフをかぶり、唄ってくれたのが印象的でした。皆さんの句を見て吟行ならでは・・・ますます刺激を受け、これからも御指導よろしくお願い致します。(加容子)
いつもながら、下見から会計迄行き届いたお世話の幹事様に本当に心からお礼申し上げます。(多賀子)
霧が深く今日の晴を予兆した朝の目覚めであった。宿の裏山を少し散歩し、霧で裾と濡らしたが、新鮮な山の空気を満喫した。気を遣って下さった幹事の方々に御礼申し上げます。(享子)
幹事さんの努力ですばらしい吟旅になり、楽しい二日間でした。(隆雄)

先生からコメント
事実の報告多し。感じて詠むことの勉強が大切です。