第3回 虹の会 百草園吟行

平成8年3月31日



参加者15名
天気晴れ
句会場百草園方南居
集合場所京王線百草園駅改札口
    
この日詠まれた季語たち
囀り・うかれ猫・春障子・苗代寒・春隣・牡丹の芽・小授鶏・四月馬鹿
梅・初蝶・春泥・落椿・草青む・春雨・初音・垣直す・啓蟄・雪吊
うららか・長閑・木の芽・青き踏む・春眠・春愁・屋根替・野遊び・花曇り・竹の秋
春・花・桜・芽吹き・すみれ・もの芽・百足・春霞・春惜しむ・春の風
風光る・遍路・雲雀・辛夷・水仙・よもぎ・山笑ふ・糸柳・日永


百草園駅から10分ほど丘を上ってゆく。松連坂という名前の坂はかなり急である。小さなお寺のような門が、百草園の入口である。門をくぐって石段を上ると、左に梅林があり、若山牧水の歌碑が立っている。ここは、牧水が恋人の園田小枝子をよく連れて来た所だという。また、虚子も第2回武蔵野探勝会で吟行している。
さらに登ってゆくと、松蓮庵という藁葺き屋根の建物がある。元はお寺であったという。観光シーズンにはここでよもぎ蕎麦を食べることができる。この庵の前の大きな梅の古木は、松平信康ゆかりの女人寿昌院のお手植えという札があり、残った花が時折ちらちらと風に散っている。ほかに小さな池と方南居という茶室があり、見晴らし台からは多摩川のながれと多摩丘陵、はるか彼方には新宿の高層ビル群がかすんで見える。芭蕉の句碑が一つと牧水の歌碑がもう一つ。大きな辛夷の木が満開であった。(瓔子 記)
3月の初旬から梅祭りで会場が確保できず、この時期になった。さすがに梅にはもう遅い感じであった。
牧水の碑は教科書体のような書体で彫られ、読みやすいが美しくないように思えた。(淑子 記)


小路紫峽先生選

春泥の掘り返さるる造成地ひで子
乗り継ぎはとんとん拍子山笑ふ多賀子
乗り継いで来たるに桜まだ固しひで子
水仙の匂ふなぞへのベンチかな節子
囀りの一呼吸また一呼吸瓔子
そば処とて藁屋根を葺き替へぬ
春霞多摩の横山おおひけり恵子
一望の関八州は花曇り佳之
啓蟄の土を払ひて靴を脱ぐ節子
初蝶のとまどふ池の広からず節子
全山の草青みたる百草園恵子