第38回 虹の会 旧岩崎邸・湯島天神吟行

平成14年3月21日



参加者13名
天気晴れ
句会場湯島生涯学習館
集合場所地下鉄千代田線湯島駅改札口


旧岩崎邸洋館

10時半、湯島駅改札口で待ち合わせ。歩いて2,3分で旧岩崎邸に着く。
三菱創設者の岩崎家の邸跡で、戦後は最高裁判所司法研修所として使用されていたが、昨年東京都の管理となって公開された。 重要文化財に指定されている、コンドルの設計による洋館と撞球室のほか、和館と庭園がある。入園料は150円。
不忍池の花を見て湯島天神を抜け、句会場へというコースで吟行した。



和館
◇岩崎邸は洋館の中まで公開されているとよいのですが。諸葛菜がきれいでいた。(淑子)
◇春塵にさいなまれましたが、見ごたえがあり、修復の終わりには又来館したく思いました。(律子)
◇旧岩崎邸に時間の足らざるを思う。桁外れの大きな手水鉢や石燈籠。春塵、桜、春の風等々、またゆっくり来てみたい(彰宏)
◇岩崎邸の襖絵は豪商と云われた派手さが無く、落ち着いた絵に生活の場を実感できました。春疾風のまき上げる砂埃には目が痛くなりました。(操)

撞球室

不忍池
◇不忍池のほとりの宴には孤独な一人もあり、若い人の乱痴気沙汰もありで、現代の世相の凝縮をも見た思いでした。(ひで子)
◇不忍池の桜は満開でした。その美しさは格別です。今年は早すぎる花見にちょっととまどいを感じます。(和江)
◇不忍の池では満開の桜も良かったがそれ以上に芽柳,青柳の鮮やかな色に魅了された(辰也)

不忍池の柳

湯島天神
◇湯島天神から見下ろす上野界隈はビル林立ながら下町ムードが残っていました。(柳影)
◇天満宮の梅に、はや実がついていたのは驚きでした。(聖樹)
◇湯島天神ではやはり絵馬の数、山盛りにかけられた絵馬は壮観だった(辰也)
◇さすがに人出はやや少ないものの結婚式をしているところにも出会い、活気のある様子でした。(淑子)

湯島天神の絵馬


小路紫峽先生選

春惜しむ湯島は坂の多き町ひで子
春疾風画架に砂塵を巻き上げぬ
春陰の骨董市のテントかな柳影
花筏風のまにまに往き戻り
不忍池の鴨は帰るを忘れしか律子
天神の絵馬はづされて梅は実に淑子
春愁の遊子たたずむ無縁坂ひで子
花下に立ちカメラに夫の照れ笑ひ柳影
旧邸の庭にひつそりたんぽぽ黄辰也
デッサンをする指先に花の冷丹花
青錆びの洋式ランプ春の塵柳影
不忍池の風は柳をくしけづる瓔子
ゆるやかな勾配をなし芝青む丹花
拭はざる骨董市の春の塵柳影
花に酔ひ人に酔ひたる上野かな律子
ビリヤード室ある館に春惜しむ律子
抱いてきし犬おろしゐる芝青し淑子
公開の岩崎邸に青き踏む柳影

この日詠まれた季語たち
春風・春疾風・春光・春陰・春塵・涅槃西風・青き踏む・花曇
花・花見・花筵・花の冷・桜散る・落花・花埃・山桜・花の雲
たんぽぽ・チューリップ・諸葛菜・桃の花・芝青む・春愁
囀り・百千鳥・初音・汗・霾・梅の実・鴨・竜の玉・ボート
木の芽・柳・芽柳・春日傘・春障子・春服・屏風・春惜しむ

 
参加者のひとこと
東京には良い名の坂が多い。無縁坂もその一つ。今度の吟行地が昔読んだ鴎外の小説「雁」の舞台と知り、文庫本を買いもう一度読みました。医学生「岡田」と「お玉」のほのかな出逢いを胸に描きながら無縁坂を歩けたのも吟行のお蔭と感謝しました。(ひで子)
昔、勤めの関係でとび廻っていた辺りの吟行で大変懐かしかったです。(柳影)
春爛漫の陽気に満開の桜。春風も吹いて楽しい吟行でした。(聖樹)
短い時間でしたが、盛りだくさんの自然の恵みを楽しみました。岩崎邸のいぬふぐり、諸葛菜、不忍池端の柳と圧倒される様な満開の桜、湯島天神のわずかに残っていた紅梅などです。(一炉)
急に暖かくなり、桜の便りしきり、お花見気分の吟行でした。風が強くて閉口、黄沙も少し降っているように思いました。(丹花)
満開の上野の桜に出逢えて嬉しかったです。旧岩崎邸も初めてで良かったです。句材が拾えました。句の出来はまだですが、参加する事に満足しています。(多賀子)