第56回 虹の会 谷中吟行 |
平成17年3月21日
参加者 | 16名 |
天気 | 晴れ |
句会場 | 日暮里サニーホール |
集合場所 | 日暮里駅北口 |
谷中墓地 五重塔通り
今回は各自自由に谷中巡りをするということで集合場所を決めなかった。 |
![]() 本行寺 |
◇お彼岸のお中日とは云え、谷中界隈の混雑ぶりにはびっくりした。日暮里駅を出た所では交通整理の人が出ている状態。谷中墓地はすっかり公園感覚で人が集まり、寺院巡りはハイキングスタイルと先祖の供養に参詣しておられる人たちには、私も申し訳ない邪魔者の一人であった。(柳影) ◇何回か本行寺には来たが、一茶の句碑を始めて見る。(辰也) ◇本行寺には一茶と山頭火の句碑が向かい合ってありましたが二人には共通した性格があるのではないでしょうか。(斉) |
◇谷中の墓地の広いことと有名人のお墓の多い事には今更ながら驚かされます。探り探り言って徳川慶喜公のお墓にお参りできたことは大きな喜びでした。白木蓮の大木が聳えていて大きなお墓にはぴったりでした。(ひで子) ◇徳川慶喜の墓所が閉ざされているのは、水戸家が神道であるからとのことでした。(斉) ◇どのお寺もお墓参りの人がいっぱいで、色とりどりの供花で墓地全体が浮き立っているような光景でした。辛夷、梅が美しく、谷中墓地での歴史上の有名人の墓巡りは夢があった。(周雄) ◇お彼岸の谷中霊園は明るく人も多く、観光地の気分でした。古い墓も新しい墓もそれぞれきれいに掃除され供花が溢れていました。故里の両親のお墓に御詣りしなければという思いが湧いてきました。ふとい小耳にはさんだ会話の中に「亡くなったお父さんにそっくりになって来たわねえ」という言葉が心に残りました。(隆雄) |
![]() 谷中墓地 |
![]() 谷中銀座 |
◇夕焼けだんだんと名付けられた石段を降りて谷中銀座を見物しましたが、昔からの活気のある商店街でした。(斉) |
◇お彼岸の人出に朝倉彫塑館まで大変。筋向いの錻力(ぶりき)屋さんは昔のままのたたづまいを残していて嬉しかった。(丹花) ◇朝倉彫塑館は見ごたえがありました。愛猫家だったとこのとで、猫の彫刻は「狙う猫」「親子猫」「産後の猫」「居眠る猫」等々沢山ありました。(斉) |
![]() 朝倉彫塑館 |
![]() 朝倉彫塑館 中庭 |
◇朝倉彫塑館の1階の彫像の陳列室で息づいているような彫像を見てわくわくした感じを覚えた。(辰也) ◇建物と池が接近していて、縁側に座っているとすぐに鯉が寄ってきます。水の音が聞こえて、とても心和む館です。書斎の蔵書や愛用の品々、手紙類も興味深く見ました。(瓔子) |
◇先生のお供をした天王寺さんは、お手入れの行き届いた庭の美しさに皆さんここへ集まっての句作となっておりました。(節子) ◇お寺がいっぱいあり、どこも開放されていて美しいお庭を拝見したり堂縁に春陽を受けて日向ぼこも致しました。オカメ桜が咲いていてしばらく見とれました。(とめ子) ◇天王寺の裏手に板碑に刻まれた地獄の入り口の線刻は珍しかった。(辰也) |
![]() 天王寺の露座仏 |
一族の墓地囲む垣繕ひぬ | 瓔子 |
彼岸寺手押しポンプで水を汲む | 斉 |
五重塔跡の礎石に草青む | 斉 |
長閑さや墓所の交番立ち話 | 柳影 |
一片の雲なき空に辛夷揺れ | 周雄 |
お中日谷中銀座と言ひつべし | やす子 |
老木のうろに出でたる物芽かな | 聖樹 |
谷中墓地墓石に風の光りけり | 隆雄 |
谷中墓地統べて銀杏の芽吹きかな | やす子 |
春の雲つばさ広げて流れけり | 瓔子 |
木の芽吹く満身創痍の大樹なる | 辰也 |
「置き引きに注意」とありし彼岸寺 | 律子 |
彼岸僧スニーカーにて小走りに | 丹花 |
彼岸墓地三三五五の人等かな | 静子 |
春愁や駅になかなか電車来ず | 聖樹 |
お彼岸や墓地の花屋にならぶ桶 | 斉 |
彼岸会の供物を狙ふ鴉かな | ひで子 |
弾痕の寺門を潜り初音聞く | やす子 |
この日詠まれた季語たち | |
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彼岸・春・春光・春愁・春の昼・うららか・長閑・あたたか・春禽 | |
紅梅・白梅・梅見・辛夷・彼岸桜・白木蓮・土佐水木・椿・鳥雲に | |
春寒・風光る・風薫る・草萌・ふきのとう・地虫出づ・日向ぼこ | |
春の雲・木の芽・ものの芽・初音・笹鳴き・涅槃西風・春疾風 | |
囀り・子猫・ハンカチーフ・春塵・春日・日永・春灯・かげろふ |
◆何よりも天候に恵まれたことが嬉しうございました。吟行の時間は充分あったはずですが、七句まとめるのにあせりました。一点凝視が出来なかったと思います。(静子) ◆東京にお墓を持たない私には、お彼岸のお寺詣をする家族の多いのに驚きました。色花の供華ばかりなのも東京なのでしょう。京都(関西?)では供華はほとんどがしきみだけのように思いましたが?(操) ◆時はちょうどお中日にあたり、はじめての谷中吟行で感激でございました。(やす子) ◆千駄木の駅を降りたら、どちらを見ても彼岸詣の人ばかり、道は聞かなくても人についていけば谷中にいたるという感じでした。円朝の幽霊寺はいつも素通りするだけでしたが、ゆっくりと拝むことが出来、円朝翁の碑というのが立てられていました。薄暗いお堂を想像していましたが、まことに美しく整った本堂にガラス戸ごしにためつすがめつ拝見しました。夏になったら幽霊の絵をぜひ見たいものと楽しみにしております。(節子) ◆仕事がらみの用事で遅れての参加でしたが、初めての谷中吟行を楽しむことができました。投句締め切り時間が少し遅かったことも、私にとってはとても幸いでした。(聖樹) ◆タイミングよくお中日の吟行となり、おかげで賑やかな谷中のいつもと違う顔を見ることが出来ました。寺と坂のある町谷中はいつまでも懐古の思いにかられ不思議な魅力がありますね。(律子) |