第90回 虹の会15周年記念秩父吟旅 |
平成22年11月13日、14日
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15周年の記念に、秩父へ一泊旅行に出かけた。 池袋発8時30分の「ちちぶ7号」を利用した10名は、タクシーに分乗して四番札所金昌寺へ。午後は、秩父駅近くで昼食をすませ、十三番札所慈眼寺、十六番札所西光寺、そして最後に秩父神社と歩いて、三時すぎ旅館の送迎のバスで小鹿野の宿に向かった。 9時30分の「ちちぶ9号」で来られた方々は、金昌寺以外の寺と秩父神社、それに武甲酒造を尋ねられたようだ。2日目は、三十一番札所観音院を吟行し、宿に戻って句会。計3回の句会であわせて19句を出句した。 |
第1日目 |
第四番 金昌寺 西武秩父駅からタクシーにて約15分。 千体以上の石仏群がある。 |
金昌寺 山門 |
金昌寺 酒呑地蔵 |
◇最初に参った札所の金昌寺の石仏の多さと古さに感心。境内は径沿いに、山の斜面と空いたところは石仏だらけ。こんなに石仏の多い札所は初めてでした。秩父の人の信心深いのが身にしみました。 裏山の古い石仏は首が全部折れていました。(辰也) ◇金昌寺の石仏群には圧倒された。(隆雄) |
◇酒樽の上に酒杯をかざし徳利を持っている仏様は、酒呑地蔵と呼ばれています。 | 金昌寺 石仏群 |
金昌寺 奥の院 |
◇裏山の古い石仏は首が全部折れていました。(辰也) ◇裏山の石仏は皆首が欠け、首の代わりに石が載せてあるのが余計に不気味で落ち着かなかった。(操) |
◇慈母観音は、じつはマリア観音だとも言われているそうです。この仏様に見とれていたら、ちょうど親子連れのお遍路さんがきて、般若心経を上げて行きました。まだ子供なのにと驚きました。(瓔子) | 金昌寺 慈母観音 |
慈眼寺 |
◇13番の慈眼寺ではメグスリの木の煎じたものをいただきました。メグスリの木なるものがあることは知っていましたが飲んだのは初めてでした。(辰也) |
◇札所から札所まで随分歩いた。これでは、歩いての札所めぐりは到底無理だと痛感した。(隆雄) |
今宮神社 千年の欅、龍神木 |
西光寺 札堂 |
◇16番の西光寺に昔の木の千社札を釘で打ちつけた札堂が残っており、今はそのとき打ちつけた釘の残りが柱に残って、札堂として祭られていました。(辰也) |
◇メインの秩父神社は七五三で賑わっていました。(律子) ◇菊花展もあり、華やかでした。秩父鉄道のSLの汽笛も聞こえてきました。(瓔子) |
秩父神社 本殿の彫刻 |
総鎮守なれば賑はふ七五三 | 好子 |
花嫁に道をゆづりて七五三 | 好子 |
削られて白き山肌うそ寒し | 操 |
注連を張る千年欅木の葉雨 | 隆雄 |
小春日や札所巡りの道長し | 周雄 |
会者定離紅葉且つ散る札所寺 | 隆雄 |
大枯木一本立ちし札所寺 | 隆雄 |
削られて削られて山眠りけり | 律子 |
剥落の首欠け地蔵草の露 | 享子 |
セメントを採りし山とて粧はず | 好子 |
本尊を見んと覗けば隙間風 | 柳影 |
庫裡裏に柿を吊るせる札所寺 | 柳影 |
寺巡る秩父はつるべ落しかな | 柳影 |
宿の囲炉裏 |
◇宿に着くなり一句会。落ち着く間もなく大広間での晩餐となりました。デモンストレーションが面白くおかみ自ら焼火箸で穴をあけた火吹き竹を使い、美しい火花をみせてもらいました。室の明かりも消しての心にくい演出でした。季節の料理に句材にこと欠くこともなく、さすがと思う二次句会で一日を終わりました。(律子) ◇宿の夕食に猪鍋がでて、夜の句会の良い句材となった。(操) |
◇宿の料理はとても良かった。特に骨酒が楽しかった。(隆雄) ◇大きな朱盃に骨酒が二合。これを皆で回し飲みしました。囲炉裏で温めた竹の筒に入ったお酒も注文。これも珍しかったです。(瓔子) |
骨酒 |
部屋毎の囲炉裏自慢の湯宿かな | 好子 |
釣り狂の父の思ひ出岩魚焼く | 享子 |
句敵と膝寄せ燈火親しみぬ | ひで子 |
炉話の達人揃ひ夜の更けぬ | 享子 |
炉辺に聞く昔語りや山泊り | 章子 |
搗きたてを女将の誇る粟の餅 | 淑子 |
神の留守なれど参道この人出 | 宏治 |
ひれ酒の朱盃を回し飲む宴 | 好子 |
手掴みに炭をつぎ足す仲居かな | とめ子 |
火吹き竹試しに吹きて灰神楽 | 周雄 |
炉に温めたる青竹の酒を酌み | 操 |
第2日目 |
観音院 296段の磴 |
◇宿のバスで31番の観音院へ。296段の石段を登って参詣。山門の石造りの仁王像は珍しいし、石段に沿って句碑が並んでいるのも楽しかった。(辰也) ◇31番札所観音院が又印象的でした。備えつけの杖のおかげで石段を踏破し、途中数知れぬ句碑を楽しみました。(律子) |
◇4番札所とは異なり、険しい磴をのぼると、行者滝があり、周りの紅葉も見渡せ落ち着いて句作できた。(操) ◇巨大な岩窟に嵌められたような本堂には、心洗われました。弘法大師爪彫という万体の磨崖仏もあり、うっすらと見えるその小さなお姿に手を合わせました。いっぱしのお遍路さん気分でした。(律子) |
観音院 |
観音院 西奥の院から見た景色 |
◇296段の石段は、赤い杖を借りて登った。奥の院からの眺望もすばらしく、紅葉に映える山の姿が見事だった。(隆雄) |
◇帰りは少し下ったところの地蔵寺からバスに乗りましたが、このあたり山間をはさんで、水子地蔵が並んでおり、こんなにならんでいる景色ははじめて壮観でした。
(辰也) ◇札所寺や水子地蔵寺などで日本人の古くからの魂に出会ったようで、やはり山は霊魂の住み家だと痛感した。(隆雄) |
水子地蔵の寺 |
谺する般若心経紅葉谷 | 周雄 |
大根引く畝に残りし穴の数 | 章子 |
谿紅葉見よと四阿建てられし | 好子 |
鈴生りの柿を見上げてバスを待つ | 律子 |
石塊のごとき石仏身にぞ入む | 好子 |
磨崖仏なぞる指先露しとど | 隆雄 |
乱磴のたすき掛けなり紅葉山 | 瓔子 |
鐘を撞く列長々と秋遍路 | 章子 |
経終へて後は遊山の秋遍路 | 淑子 |
◆俳句三昧をしようと誘われた吟旅・・・秩父は紅葉の盛りでおだやかな日和にも恵まれ、楽しい苦しい二日間でした。食べては俳句、食べては俳句、本当によく食べよく作りました。秩父は山の中とは云え、歴史もあり旅館も趣のあるよい宿でした。札所寺もそれぞれの特徴があり、又訪れたいと思いました。(好子) ◆秩父は初めてである。三十余の札所のある遍路道でもあり、集蚕地であったことが、この町の大きさからもよくわかった。今も蚕室のある農家があり、印象に残った。峰を連ねての紅葉は空に映え美しかった。幹事の方々、お世話になりました。楽しい吟旅でした。(享子) ◆始めて泊りがけでの吟行句会に参加しました。疲れもさることながら追われながらの句会は、苦しいながらも楽しかったです。それにしても今回の句会、息つくひまのまき忙しさでした。そんな中ともかくも三回の句会に出句できたこと何よりのことでした。秩父路の季題がいっぱいの中でもう少し何とかならなかったかとの思いも残りましたが、楽しい二日間に感謝しています。(とめ子) ◆秩父行きの特急電車に乗り込めば、旅気分。その先の呻吟苦吟がかくもだったとは。三度の句会十九句。終えたる今はほとんど疲れと満足につつまれています。ありがとうございました。(宏治) ◆虹の会一泊旅行 全部で19句提出とあって本当に目の回る思いでした。無事に終えることができてほっとしました。深まりゆく秋の秩父路の吟行と温泉宿での山の幸に堪能した二日間でした。札所寺の朝露に濡れる石仏群、里山を染める紅葉や家々の柿簾、菊花展と七五三ににぎわうの秩父神社 そして摩崖仏のある観音院などどれも印象深いです。句会では皆様の俳句のすばらしさに大いに刺激を受けました。またいろりを囲んでの夕食や露天風呂でのおしゃべりなど楽しいひとときを過ごし、忘れられない旅行になりました。本当にありがとうございました。(章子) ◆九十回と言う記念すべき虹の会に参加できた事は、本当に嬉しく有難い事でした。暑くもなく寒くもない何とも良い時期に吟旅ができた事は、最高でした。お世話して下さった方々に深く御礼申し上げます。(ひで子) ◆季節はずれの黄砂のせいか霞んだような空だったが雨は降らず暖かい天気に恵まれ、楽しい秩父吟旅だった。金昌寺の石仏群、宿の小鹿荘の大女将と美味しい料理等すばらしかったが、作句、句会、食事、温泉と実に忙し過ぎる二日だった。(周雄) ◆秩父神社やその他の札所を欲張って回ってしまい、ただ句材を拾うばかりでじっくり腰を落ち着けて句作しなかったのがくやまれる。幹事さん達が効率よく準備をして下さって1人では行かないところへ良い吟旅ができた。感謝しています。(操) ◆指定席特急に乗って、旅行気分を楽しんだ。東京のこんな近くにこんなに良いところがあるとは知らなかった。俳句をやっていて、虹の会をやっていてほんとうによかったと思った。ほど良い人数なのでタクシー移動もスムース。宿は囲炉裏があり、露天風呂があり、非日常を楽しめた。札所寺にはあまり関心がなかったが、めぐってみるのも良いかもしれない。石仏、紅葉、材料には困らなかったが、ややあわただしかった。おいしいものを食べ、俳句三昧、楽しい週末でした。(淑子) |
もう一歩つっ込んで実感を詠むこと。報告、説明が多い。 |