Photo by Yoko

月つき

月の道折りかへさむと友の影　　　阿波野青畝 　一すぢの雲に遅月のつてゐし　　　阿波野青畝 　序を正す小倉百人殿の月　　　　　阿波野青畝 　 　金堂の柱みな月明らかに　　　　 阿波野青畝 　白峰の月隈なくて悲しけれ　　　　阿波野青畝 　そぞろ行くここらが月の瓶原　　　阿波野青畝 　月の名の変る宵宵又雨読　　　　　阿波野青畝 　月の山大国主命かな　　　　　　　阿波野青畝 　月しろに鬼竜子列を並べたり　　　阿波野青畝 　一つ家のその市振の月に吾　　　　阿波野青畝 　神にませば月を鏡となしたまふ　　阿波野青畝 　月の道狐めきたる紀州犬　　　　　阿波野青畝 　降臨の日向すがしき月夜かな　　　阿波野青畝 　 　地平より昇り西湖の大月夜　　　　阿波野青畝 　旅二夜西湖の月を具に寝ね　　　　阿波野青畝 　球体の月を揚げたり甲子園　　　　阿波野青畝 　ネオン駈けめぐりなかなか月出でず　小路紫峽 　箱庭にほんものの月あがりけり　　　小路紫峽 　灯の海の高速高架月今宵　　　　　　小路紫峽 　月の客恙あるとも見えぬかな　　　　小路紫峽 　三輪の月素十の句碑にさしわたり　　小路紫峽 　月の須磨ベンチに彼を見つけけり　　小路紫峽 　須磨は良し月の籬に駐車しぬ　　　　小路紫峽 　月出づと鑑真像を人離れ　　　　　　小路紫峽 　腕時計読めぬ視力や月を待つ　　　　小路紫峽